鉄の塊のようなカメラでね、わたしがこれまで使ったカメラの中でぶっちぎりで圧がある。
手に取るとずしっとした重さとキンッとした冷たさがあって緊張する。
特別すごく大きいというわけでもないのに、ボディだけで620g。
フィルムカメラでメインで使ってる YASHICA ELECTRO35㏄ はボディにレンズがくっついてて550gだからそれに比べちゃうとやっぱり重い。
露出計がついていて、それを見ながら上部ダイヤルのシャッタースピードとレンズのとこの絞りで露出を決める。
シャッタースピードも絞りもマニュアルのフィルムカメラを使うのってはじめて。
格好いいんだけどね。
重くて、ピント合わせが苦手な二重像のでよく見えなくて、露出もマニュアルだからわたしの場合シャッターを切るまでにえらい時間がかかる。
持ち出すのが億劫になってしまってなかなかこのカメラで写真を撮りに行けずにいた。
Canon7に入れてる業務用がまだ半分くらい残ってるからそろそろ撮りきりたいー。
— はち / きまぐれハチログ (@hachi_simple) 2019年9月1日
でもあれ難しくてさくさく撮れない。二重像がよく見えないんだよなぁ。
こんなことを言っていたのが去年の9月のこと。
そしてついに撮り終わった。
今が3月だからあれからもう半年も経ってしまってる。 なんなら撮り始めてからもう少しで1年。
1年弱かけて撮り終えたフィルム、現像するのがすごく楽しみだった。何を撮ったんだかの記憶がもうないからちょっとしたタイムカプセル気分。
使ったフィルムはFUJIFILMの業務用100。このフィルムもついに生産終了してしまう。写りが好きで、気軽に使えて好きだった。
こうして段々とフィルムが生産中止となっていく。全部がなくなってしまったら悲しいから微力だけど使い続けることで応援。
さて、Canon7で撮った写真たち。
慣れない手つきでフィルムを装填して、よし撮るぞ~って朝さんぽをした初夏。
ふらふらしてたら光と緑が気持ちのいい葉を見つけた。上を見上げたら葉がそよそよ。
ファインダーを覗いてみたら、、二重像がよく見えないな。枠が薄い。
たぶんこれでいいのかな、、?!でおそるおそるシャッターを切った。
上手く撮れてるか不安になってもう1枚撮ってた。
撮り始めだから1/3が感光してたけど1枚目の写りがなんか好き。
ホロホロと崩れ落ちるようなボケ。
歩き回りながら朝ごはんを求めてたんだけど喫茶店もなんも見つからなくて。
お腹すいたね~って話ながらふらふらふらふら。そこでようやく見つけたイートインできるパン屋さん。ゆったりした店内でたくさんのパンが並んでて朝からうきうき。
ってこの写真を見ただけでその時の記憶が戻ってきた。こんなピンボケなのに。写真の力はボケてても発揮されるんだなぁ。
あんまり寄れないレンズなのにめんどくさがって座ったままの距離で撮ってたからこのぼっけぼけ。
花を見つけるとやっぱり気分が高揚するし写真を撮りたくなっちゃう。
段々とこのカメラと被写体とのちょうどいい距離感が掴めてきて楽しくなってきた。
町で見かけた豆腐屋さん。
近所にこういうお店があったら嬉しいのになぁ。
中央線の日。
国立に行った日だったような。駅のまわりのお店が好き。
今はあんまり食器を買わなくなっちゃったから行ってないけど、長野の食器のお店が駅ビルに入っててそこにこの頃よく行ってた。
この不思議な建物は武蔵境の公共施設。
またゆっくり過ごしに行きたいところだけど、今はなんだか混みあってそう。
いろいろ落ち着いたら行きたいな。
なんかいいなぁって思ってシャッターを切ったんだろうけど、1枚目と3枚目はオーバー露光ぎみ?好きだけど。
2枚目の光はたまらんなぁ。
ネガだから多少の露出ミスはなんとかなるけど露出を合わせるのって難しいなぁ。
一応露出計は見ながらやってるんだけどなんでだろ?イマイチまだよくわかんない。
ほい、大好き逆光写真。
シャッター切ってるときは眩しすぎてなんも見えなかった。
雨上がりで道路に反射した光がきれいで、わーーーっとなって勢い余ってシャッターを切ったけど、切ってから気づいた。露出もなんも確認してない。
そりゃオーバー露光になるわ。
ってことでもう1枚。
今度はちゃんと露出計を見て絞りとシャッタースピードを調整した。
ちょうど歩行者と自転車がきてるタイミングで、シルエットになったのもよき。
同じようなのばっかり撮ってる。
ぱぁーっと光が溢れてて好き。
そうそう、季節は春になった。
冬は全く撮らなかったな、このカメラ。冬眠させててごめん。
あ、なんかいいなで立ち止まってシャッターを切った。
カメラを持ってるとまわりをじっくり見るようになるからいつもは見逃してしまうものが見つけられるようになる。
綺麗だと感じる何かをよく見つけられるようになって、日常に豊かさが増すと感じる。
1枚1枚シャッターを切るまでに時間はかかるんだけど、さくさく撮る普段の写真との対極にあってそれまた楽しい。
この花はなんだったんだろ。
桜が咲くと春の気分。
へへ、一気に撮っちゃった。春は楽しい。
風が強くて桜の枝は上下左右にぶらんぶらん。
それをマニュアルですべてを合わせて撮るってのは難しいな。デジタルでも露出設定もピント合わせもマニュアルで撮るようにはしてるのにそれとは勝手が違う。
デジタルのときはマニュアルで撮っててもすぐモニターで確認して調整して再撮影してるから、考えて撮るということをしてない。見て、調整。
撮る段階でちゃんと考えるってやってこなかったなーと反省。でもまぁ今後もやらんだろなぁ。
部屋でぼんやりしてて、ふと窓に目をやったら、あ、なんか好きって思ってカシャッと1枚。
ゆっくりシャッターを切れる場所で撮れることの安心感。
こまめに撮ってたわけじゃないから四季を撮れてなかったのは残念。程よくまめに持ち出せてたらな~。
普段はお出掛けしたらキリよくフィルム1本を使いきるような写真の撮り方をしてたから、こうしてゆっくり1本のフィルムを使うのは新鮮だった。
じっくりも、さくさくも、気軽も、難しいも、いろいろやってみていろいろ楽しも。
このカメラで撮り始めたあの朝さんぽの日、
もうひとつ持っていってたフィルムカメラで撮ったのがこちらの記事。
初夏だと思ってたけど5月だった。