精神科医、名越康文さんの本【「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である】。
なんともすごいタイトル。
近所に個人経営の古本屋さんがあって、そこのラインナップが好きでよく足を運ぶ。
古本屋さんのラインナップが好き、って、ここに売りに来る人たちの選ぶ本が好きってこと。
はっきりとしたジャンル分けはないけども、なんとなく自分の興味に引っかかるものがよく本棚に並んでいる。
店長さんがこまめに本棚に手を入れてくれているから行くたびに違う本と出会える。
そして今回手に取ってぱらっと読んでみたら面白くて買って帰ったのがこの本。
他者とは距離をたもっている方だと思ってた。
近付きすぎちゃうと疲れちゃうし上手くいかないから。
一緒に楽しい時間を共有する人はたくさんいるけど、共有するのはそこまで。
内面にはあまり入ってきてほしくない。
ひとり、でいる。
それを意識してすごしているつもり。
つもりでしかなかった、と思わされたのはこの本を読み始めて数ページ。
対人関係のストレスの多くは、実は、現実の相手というよりは、「心の中の他人」によってもたらされるものです。
私たちはいつも、無意識のうちに、他人がどう思うか、他人からどういうリアクションが返ってくるのかということに、心を砕いています。
そこにあるのは、現実のコミュニケーションというよりは、あなたの心に棲みついた「心の中の他人」との会話です。
「こんなことして何の意味があるんだろう?」という虚しさも、
「誰からも相手にされなくなってしまうかもしれない」という不安も、
「なぜ自分の言うことが聞き入れられないのか」という怒りも、
すべては実際の人間関係というよりも、心の中の他人との会話によって生じた感情なのです。
なぜ私たちはいつも心の中で他人の声に影響を受け、他人からの評価や視線を四六時中、気にしてしまうのか。
それはあなたが「群れ」の一員として、日々過ごしているからです。
心の中の他人の声は四六時中、私たちに「こうあるべき」「こうすべき」「これはやってはいけない」といったプレッシャーをかけてきます。
物理的にはひとりで過ごしているときにでも、心の中や頭の中ではひとりになれずにいる。
気付くとそこではずっと「誰か」のことや「誰かに言われたこと」について考えたり気にしたりしている。
しかもそれが無意識で。ずっとで。
、、、あれ?全然ひとりになれてない。
こうしてこの本では群れと距離を置いたつもりでいながら全然距離を置けず、むしろとらわれまくっていることを指摘してくれます。
「『ひとりの時間』を『ひとり』で過ごす」というのは思った以上に難しい。
いつもあれこれ考え続けてはいるけど、意識を「今」に留めるのは苦手で。
それはそれだけいつも「誰か」を気にしているっていう証拠。
ああああ、、、。
じゃあ。
と思い至るのは極端結論で、
「もっと意識して人と距離を取るようにすればいいんじゃないか」。
そんな流れもお見通しのようで、本書には以下のような文が。
さまざまな問題を認識したあなたは、会社を辞めたり、家族や恋人との縁を切ったほうがよいのではないか、と考えるかもしれません。
しかし、私たちは、どれだけ群れを忌み嫌ったところで、群れから離れてひとりぼっちで生き続けることはできません。
いろんな世界で生きる人たちを見てみると、群れから離れて生きれる人はいるにはいる。
いるけど、 でも自分には出来ないというのはわかってる。
だってそれが出来ているならこんな風に人間関係について考えたりなんてせずにあっさりと我が道を行ってる。
いつまでも考え続けて道を探そうとしてるのは諦めきれないものがあるから。
さて、じゃあどうしようか。
あの人にどう思われてるんだろう、とか。
こんな風に人から見られたい、とか。
関心を持たれたい、とか。
こういうよく生じるもやもやごと。
こいつの正体は主に承認欲求。
承認欲求が一概に悪いものではないけれど、それをこじらせて振り回されていては疲れてしまう。
ここまではよくいろんな本や誰かの話の中でよく聞く流れ。
この本をいいなーって思ったのはその先の具体的提案に結びつけてくれてるところ。
まずは承認欲求について
誰かに振り向いてほしいという感情は、往々にして、振り向いてくれない誰かへの怒りとセット
と言っており、承認欲求そのものに対してではなくこの「誰かへの怒りの感情」への対処について考え提案してくれている。
そこで何よりも優先して取り組むべきタスクは「自分の心を落ち着かせること」。
わたしたちは日常の中のさまざまな刺激によって常に感情をかき乱されている。
試しに5分、目をつぶって心の中の動きを追ってみると、、、気付いたときには脈絡のないひとり言のような思考・感情に飲まれていく。
それへの対処が「ひとりの時間」を過ごすこと。
タイトルで「ひとりぼっち」を最強の生存戦略と言っているのはこういう意味。
私たちは何かに集中している時、「群れ」からの評価を気にせず、自分の内側にある、自分だけの尺度で物事に取り組んでいる。
「何かに集中すること」は「群れの中に有りながら自分だけの時間を過ごすこと」。
このとき重要なポイントだというのが、目的意識を出来る限り捨てること。
「〇〇のため」という目的意識はほとんどの場合、「群れからの要求」に応えているだけだから。
そこから離れて過ごす「ひとりの時間」によって、「群れの中で生きる自分」の姿を客観的に見つめ直すことができる。
そうすることによって初めて自分自身と向き合うことができるようになる。
このような意味での「ひとりの時間」の過ごし方、その具体的提案が本書では続く。
せっかくだからあれこれ試していきたいと思っている。
なんだか上手いことまとめられないけど、興味関心(あと悩み)の方向がわたしに近い人にぜひ読んでもらいたいです。