南知多には縁もゆかりもない。
行ったことはないし、知ってる人もいない。
なのになんでそんな南知多にいきなり行こうと思い立ったかと言うと、行ってみたいゲストハウスがあったからで。それが今回宿泊するゲストハウス、ほどほど。
ご夫婦2人できりもりしている定員8人の一軒家のお宿。
ゲストハウスというものに興味を持ってからあれこれ調べてみると、一言でゲストハウスと言っても中身がそれぞれ全然違うということを知る。
とにかく安く気軽に泊まれる宿として最低限の設備と関わりのみのところもあれば、その地域を楽しめるようにきっかけを作ってくれたりオーナーさんや他の宿泊者と一緒に過ごすその"場"を大切にしてるようなところがある。
ほどほどさんは後者のタイプ。
そこで過ごす時間を楽しんで帰ってほしいって感じがサイトや人から聞いた話から伝わってきていた。
そういう場や場を作る人たちに興味があったからいつか行ってみたいなとは思っていたものの、なんだかんだで後回しになってて。
今回関西に行く予定ができたから「あ、これ前日も休みを取って西に行く前に名古屋で下車して南知多に寄っていくプランにすればいいんだ」と無理やり詰め込んで計画を練ってみたら、いけるいける。
ちょっとあっち行ったりこっち行ったりでバタバタにはなっちゃいそうだけど休みの期間内で行ききれる!
ということで行ってきました。
これらの続きで、ようやく1泊目の話。
南知多の海沿いは目の前を遮るものが何もなくて空間が広々としていて解放感いっぱいで、夕焼けはすごく綺麗で陽の光は暖かいしで柔らかななにかでじわじわと気持ちが満たされていった。
前に熱海で日の出を待ち続けてから浴びたときにも思ったけど、太陽の光ってエネルギーがある。シンプルに元気になる。
太陽が沈むのを見届けて満足して、さて暗くなる前にゲストハウスに帰らなきゃと自転車の方向をUターン。
漕いで少し行ったところに同じように自転車で夕焼けを見に来てた子がいた。
荷物の感じからして一人旅?
目が合ったから軽くぺこっとしてそのまま自転車を漕いで通り過ぎたところで、あれ?なんかあの自転車見たことあるような、、。
あー!ゲストハウスにあったちっちゃい車輪の自転車!!
ってことは今夜の宿泊者の人か!!
通り過ぎたのにその場でまたUターンして声をかけたら大正解!
「あの!もしかしてゲストハウスに泊まる人ですか?」から「夕陽きれいでしたねー!」ってきゃっきゃして、そのまま一緒に帰りながらここに来るまでの話をしたり写真を撮らせてもらったりスーパーで夕飯の買い物したり。
ひとり旅が一気に楽しくなる瞬間ってこういうの。
気が合う人に出会えたことも、想定外のことが起こるのも、めちゃくちゃ楽しい。
ノリやテンションの上がり方やだらだら具合が似ていて一気に意気投合。
スーパーでの買出しを終えてゲストハウスにふたりそろって「ただいま戻りました~」と帰ったら、自転車をお借りしにきたときには会わなかった女将さんに「あれ?ふたりは元々の友だち?ここで待ち合わせ?」って間違われた。
でもそれくらい自然と仲良くなってたから不思議。
こういうところにひとりでふらっと来てみようって思って来るような人だからきっと似てる部分があるんだろうなぁ。
後回しになってしまってたチェックインを済ませて部屋の案内を受けると今夜の相部屋のお相手はなんとこの子。やったー!
ほどほどさんの部屋はゲストハウスによくある二段ベットのドミトリーではなくて和室に布団を並べて敷く。修学旅行みたい。
ちゃっちゃっちゃっとふたりで布団を敷いて荷物の片づけをして1階の居間に戻るとオーナーさんが車で近くの銭湯まで連れて行ってくれた。
銭湯の駐車場について車を降りるとすぐ裏が海で、まだ少しだけ残る夕焼けと星が見れた。
3人で少しここで海と空を眺めたのもよき思い出。
ゲストハウスにはシャワーもあったけどやっぱり銭湯は気持ちがいい。
なんだかよくわかんない滝みたいのに打たれてケラケラ笑いあったり、湯船に浸かりながら「まだ知り合って数時間なのに一緒にお風呂に入ってるって面白いね」って言いながらいろんな話をしたり、でも別にべったりってわけでもなくてお互い好きなペースで動いてて、なんかいいなぁこういうの。
お風呂上りはやっぱこれ。
待ち合わせの時間にまたオーナーさんが銭湯まで迎えに来てくれて、本当に感謝しかない。でもご好意に甘えてよかった。自転車でも行き来できる距離だったけど自転車で帰ってたら絶対に湯冷めしてた。
ゲストハウスに戻ってきたら次はご飯。
今夜は持ち寄りご飯の会~!
「参加する人はひとり500~1000円くらいでお惣菜かなにか買ってきてね」ってもので、もちろん参加。こういうの大好き。
お惣菜を買うんじゃなくて食材を買ってきて料理をするでもオッケーとのことだったからさっきスーパーでふたりでいろいろと買ってきた。
「簡単でうまいもの作ろ~!」で買ってきたものたち。
切って炒めるだけだけど絶対おいしくなるやつ。
他の人たちが作ってる間にせっせとテーブルへ。
ってつまみ食いしてて笑う。
でも結構みんなつまみ食いしてたし、お酒飲みながら作ってる人も。
そんなゆるゆるな感じ。
納豆でなんか作ってる人もいた。
わたしは納豆が食べられないからいただかなかったんだけどなんか不思議な食べ方をしてた。なんだっけ。タレを入れずにお酢だったかな。
あとカレーを持参してここで再煮込みしてる常連さんも!
「今夜カレーを持ってきてくれる常連さんがいるよ~」とは聞いてて、おうちのカレーくらいなノリのものかと思ってたら今度カレー屋を始めるスパイスたっぷりの本格派だった。
銭湯から帰ってきたときにパチパチといい音を立てて揚げ物をしている音が聞こえてたんだけど、あれは女将さんがこの南蛮漬けのために魚を揚げてた音だった。
あれはおいしい音だった~。
それとおいしいお出汁のお鍋!
いただきます!
どれもこれもがおいしくて、箸が次から次へと伸びる。
南知多の地魚で作ってくれたカルパッチョもおいしかったなぁ。
旅好きが多くて旅先での話をたくさん聞いた。スペイン巡礼徒歩の旅から帰国したばかりの人とか。
海外に旅に出て途中でお金がなくなって帰ってこられなくなって食料だけでも確保しようとカレーを作って凌ごうとしたら買ってくれる人が出てきてお金が貯まった話とか強かった。
あとは料理の話や考え方の話、ゲストハウスの話もしたな。普段関わることのない人と話をするのは面白い。
話をする中で「その感じだと海外旅行あってるよ!一回行ってみなよ」って勧められて、今までだったら海外旅行に対しては「いや、旅好きって言っても国内の安心できる範囲内の旅が好きなだけだし、確実においしい日本食が好きだし、なんとなく不安なことが多くてわたしの場合疲れちゃって楽しめなさそうだし」で自分の中で終わらせてしまうものだったけど、少しだけ「いつか行ってみようかな」って気持ちが湧いた。
みんなのキラキラしてない海外旅の話を聞いたら面白そうだと思ってしまった。
そんなこんなで夜も更け、お腹もいっぱい。
ゆるっと片づけをしてそれぞれ部屋に戻ったりお風呂に行ったりぼんやりしたり。
居間に残って本を読みながら相部屋の子とふたり、ミニマリストの話やカメラの話をした。
「スマホで写真を撮るのは好きでよく撮ってたけどカメラには興味持ったことがなかったんだよね~」「でもこうやってカメラで撮ったのを見せてもらったら欲しくなった!買う!」って言ってくれてまさかのここでカメラ講座とカメラトーク。
めんどくさがりだから簡単に操作できて、旅の荷物は多くしたくないからコンパクトで、旅行の景色を撮っていきたい、というのが話していてわかったからコンデジのGRⅡを勧めてみた。作例を見てもらって写りの好み的にも、あと予算的にもアリっぽい。
この人に合うのはどんなものだろう?って考えるのって楽しいなぁ。
カメラが大好きなまわりのみんなだったらどんなものを勧めるんだろう?ってふと思って、今度誰かとそんな話をしてみたいと思った。
ストーブの暖かさもあって、段々と眠たくなってきた。
楽しくて楽しくていつまでも起きていたい気持ちもあったけど、2階のお布団も呼んでる。大人しく寝ることにした。
「明日もし出発するときにまだわたしが寝てたら起こしてね、見送りたいから。」
寝る前にそう言ってくれてすごくすごく嬉しかった。
翌朝起きて身支度してとりあえず1階へ降りると女将さんと他のゲストさんがもう起きていた。
朝は朝で静かでゆったりとしていていい時間。ストーブのある空間ってなんだか和む。
昨日のお鍋の残りで作ってくれた雑炊をいただいた。おいしい。やさしい。
さて今朝はどうしよう。天気がよかったら散歩をしたかったけどあいにくの曇り空。
たまにはなにもしないというのもいいか~と、温かいお茶を飲みながらだらりだらり。
そしたら相部屋の子も起きてきたから一緒に出発してどっかでモーニングをすることに。
行ってきます。お世話になりました!
オーナーさんが外まで見送ってくれた。
って今朝のオーナーさんのTシャツ!今はなきGAKUBUCHIのTシャツじゃん!2月と5月にわたしが福岡で泊まったとこ!
共通の知り合いが仲良しな人だったりして、遠くなのにこうして繋がりがあってゲストハウスの世界も面白いなぁ。
モーニングに行ってきたのはゲストハウスから少し歩いたところで見つけたこの喫茶店。
中をちょろっと覗いてみると先客のおじいちゃんが何人か。
どうやら朝はここに自然と集まって過ごすのが日課っぽい。あとからもおじいちゃんが来て朝の挨拶をしてた。喫茶店らしく静かなんだけど騒がしくない賑やかさがあった。
そんな中にわたしたちがいるのは客層としてはちょっと場違いなような気がするけど、たまにちらちらと見られていたけど、帰る頃に「自分たちもあんな頃もあったな~」ってにこにこしながら言ってるのが聞こえて店全体でみんな「ふふ」ってなってて、直接会話らしい会話は特にしなかったけど空気が温かかった。
ミルク珈琲にした。
砂糖を半分残しといてトーストにかけるの賢い。わたしもやればよかった。
「なみじ」さんだからコップの持ち手も波なのかな。
「ご馳走様でした!おいしかったです」「お邪魔しました~!」ってお会計ながらお店を出たらみんなしてにこにこ見送ってくれた。
さてもうすぐバスの時間。
かと思ったら休日ダイヤと時刻を見間違えてたみたいでまだ30分もある。
ゲストハウスに戻るにも喫茶店に戻るにも中途半端すぎる時間。
かといってここで突っ立ってるのもなぁ。ちょっと小雨が降ってきたし、昨日と違ってちょっと寒い。
ちょっとダッシュで魚ひろば行かない?って提案してくれて、思考が自分に似すぎて笑った。
ダーッシュ!
昨日と違ってこの景色。昨日は晴れてて本当によかったなぁ。
えびせんの専門店があって、これおいしいんだよ~って教えてもらいながら、時間がないのに試食しながらお土産を買った。
そしてまた小雨の中ダッシュで戻る!
走りながらめっちゃ笑った。
雨の中走って笑ってなにやってるんだって感じだけど楽しかったなぁ。
間に合った~!
ここからバスで駅に向かう。昨日と同じ河和駅へ。
この子との旅は河和駅まで。バスの中で最後まで話して過ごした。
南知多に来てこんなにも楽しく過ごせたのはこの子のおかげ。
こういう出会いがあるから旅は楽しい。
後日、このときの写真をプリントして送ったらすごく喜んでくれた。写真っていいなぁって言ってもらえて、こういう写真のコミュニケーションが好きだなって再認識。
また来年どこかで会うと思うけど、そのとき彼女の手にはなにかカメラがあるのかな。
それもまた楽しみ。